凡(Bon)・造形作品『阿吽(トリ)』 | ひだまりモールひだまりモール
箸置きや筆置きのように
なにか機能としても使える造形をしようと思った。
口を開けている顔と、
口を閉じている顔の動きがあったらかわいいと思って、
胴体とつなげて作った。
漆と金属粉を塗り重ねて研ぎ出して、
土の形に影響を受けて現れる
研ぎ出しの風合いを楽しんで作った。
日本には「和み(なごみ)」 という概念がある。
「なごみ」とは、 異なる要素を調和の中に共存させることだ。 豊かで美しい自然と、 多くの厳しい災害がある小さな島国で、 人々が培ってきた生きるための知恵だと思う。 そして、何かを創造していく力にもなっていると感じる。
私たちはたくさんの名前をつけ、分類し、 境界を引くことで世界を認識しようとする。
それが何者であるか、 ゆるぎない答えらしきものが決まっていた方が なんだか安心するからかもしれない。
どんどん細かく、説明のつく部品のように自然も生物も 自分自身の身体も、感情ですらバラバラの名前で分けられる。 価値や尊さや正義が安直に決められてしまうような 恐怖や窮屈さを時々感じる。
もっとゆるやかで曖昧で、互換性をもってつながりあい、 ゆらぎあっていいのにと思う。
私は、異物と思っていたものが、 遠い存在だと思っていたもの同士が調和の中で繋がったとき、 世界の真に触れるような気がして心が動く。尊さを感じる。
私は漆ほど「なごみ」を体現している素材はないのではないかと感じる。
一種類の液体が塗料にも接着剤にも造形材料にもなる。 木、土、金属、貝、皮など あらゆる素材と調和して一つの存在となる。 漆が塗られたものは熱さも冷たさも和らぎ、 私たちの手に心地よく馴染む。 そんな漆と向き合い、ものづくりをしていくことは 私に「なごみ」の心を体感させてくれる。 漆を通して、様々な素材や形や感情と対話をしていきたい。 私にとって尊いと感じた何かが、 素材や形、色や光や空間と調和して、 出会った誰かが「なごむ」存在となれたらとても嬉しいです。
作家は、大学では彫刻を専攻。 陶器に漆を焼き付ける手法を用いています。
「自分が今生きている事」への哲学の欠片が散りばめられた ような、独自の世界観に触れる事が出来る作品達です
店頭では触り心地をお試しいただけるので、
ぜひ一度お手に取ってみて下さいませ。
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